この記事では、法人所有者の方に知っていただきたい、法人の確定申告書の種類と提出先をまとめます。
〈この記事はこんな方におすすめ〉
・法人を所有しており、確定申告の方法を知りたい方
〈この記事によってわかること〉
・法人が決算処理後に提出しなくてはならない確定申告書
・各種書類の提出先
・条件次第で提出不要となる書類はなにか
すべての法人が提出するもの
税務署に提出するもの
決算書
- 決算書も広い意味では、確定申告書の1つです。
- 法人の確定申告処理は確定された決算書に基づいて行いますので、法人税申告書と一緒に決算書も提出する必要があります。
法人税別表
- 決算書に基づいて作成された法人税申告書の別表です。
- 別表の種類は、多数ありますが、通常の小規模法人様が提出すべき別表は限られています。
- 提出すべき別表は、決算処理の状況によって変わります。
- たとえば、交際費の支出があった場合は、別表十五の提出が必要ですが、交際費を使ってなければ提出する必要はありません。
- ただし、別表一(一)、別表二、別表四、別表五(一)、別表五(二)の5種類の別表はすべての法人が提出しなくてはなりません。
法人税内訳書(勘定科目明細書)
- 法人税内訳書は、正確には「勘定科目明細書」といいます。
- 法人税内訳書についても、別表と同様、決算状況に応じて必要な内訳書のみ提出します。
- たとえば、期末に売掛金残高が残っている場合は内訳書③の提出が必要ですが、期末残高がなければ、内訳書③を提出する必要はありません。
- ただし、内訳書①は預貯金の明細なので、ほとんどの法人で提出が必要となるはずです。
適用額明細書
- 23年4月1日以降終了事業年度より、当期の決算結果が提出要件を満たす場合には、この書類の提出が必要となりました。 (22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(租特透明化法)」が制定されたため)
- 適用額明細書を添付する必要があるのは、「租税特別措置法の適用によって所得金額や税額が減少した場合」です。
- 例えば中小企業の場合、租税特別措置法第42条の3の2第1項の規定により、所得金額が年800万円以下の部分は税率が18%に軽減(通常30%)されていますので、適用額明細書の提出が必要になります。
- 記載する情報は、条文番号や適用額などですので難しいところは特にありません。
法人事業概況説明書
- 法人事業概況説明書は、以前は提出が任意でしたが、現在はすべての法人が提出しなくてはなりません。
- 法人事業概況説明書には、決算書の貸借対照表の金額の他に、事業内容・代表者に対する報酬・月別売上高などの法人の事業の情報が記載されます。
都道府県民税事務所に提出するもの
都道府県民税申告書
- 土蔵府県民税申告書は、地方税第六号様式および、その他の付属別表等です。
- 第六号様式は、法人住民税(均等割、法人税割)、事業税、地方法人特別税の4種類の税目の申告書になります。
条件によっては提出不要のもの
税務署に提出するもの
消費税申告書
- 課税事業者の場合は、消費税申告書も税務署に提出する必要があります。
- 免税事業者に該当する場合は提出する必要はありません。
- 本則課税の場合は、第27-(1)号様式および付表2を提出し、簡易課税を選択した場合には、第27-(2)号様式および付表5を提出します。
- ※ 会計期間内に新旧税率が混合する場合には、付表2に代えて、付表1と付表2-(2)を提出し、付表5に代えて、付表4と付表5-(2)を提出します。
市区町村役場に提出するもの
市町村民税申告書
- 地方税第二十号様式です。
- 東京23区に存在する法人の場合は、第六号様式とその関連別表のみで地方税の申告は済みますので、第二十号様式の提出は必要ありません。
提出部数について
書類によって以下のように提出部数が異なりますので注意してください。
- 法人税別表一(一):提出用1部と控用2部の計3部提出します(つまり「控用」のうち1部は、実際には提出します)。
- 消費税申告書の第27-(1)号様式もしくは第27-(2)号様式:提出用2部と控用1部を提出します。
- 地方税第六号様式:提出用2部と控用1部を提出します。
- その他の申告書:提出用と控用を各1部提出します。
まとめ
- 法人が決算処理後に提出しなくてはならない確定申告書は8種類あります。
- 地方税申告書にかかる書類(2種類)は、提出先が税務署と異なります。
- 適用額明細書、消費税申告書については、条件に該当しない法人は提出する必要がありません。
- 例えば、東京都内に存在する免税事業者の場合、消費税申告書と市町村民税申告書は不要です。
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