【要約&書評】<5分でわかる>ジェフ・ベゾス 果てなき野望

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この記事は約7分で読めます。

本書は、こんな方におすすめです。

 

  • アマゾンの歴史について知りたい
  • アマゾンの強みについて知りたい
  • アマゾン創業者ジェフ・ベゾスについて知りたい
  • 新規サービス立ち上げにはどんな困難があるのか知りたい

 

この記事では「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」のエッセンスをまとめてご紹介します。

 

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アマゾンの独特な文化

パワポでのプレゼン禁止

アマゾンの会議ではPowerPointスライドによるプレゼンテーションは行われない。

その代わり6ページの意見書で要点を説明する。

 

創業者ジェフ・ベゾスが以下のように考えているからだ。

  • PowerPointは自分の考えを徹底的に表明する必要がない
  • 箇条書きにするといろんなことが隠せてしまう
  • クリティカルシンキングを育むには散文形式の方がいい

 

企画書はプレスリリース形式

新製品の提案書は、プレスリリース形式で文章を作る。

つまりその提案をどのような形で顧客に提示するのかを形にするわけだ。

会議ではまず用意された文章を参加者が黙読した後、討論に入る。

 

一対一の面談は原則しない

一対一で部下と面談することには以下の特徴があるとジェフ・ベゾスは考える。

  • 問題解決やブレーンストーミングの時間にならない
  • どうでもいいような報告と社内政治の雑談を聞かされることが多い

 

したがって、自分の時間を最適に割り振る努力の一環として「一対一の面談は原則しない」と宣言している。

 

過剰な福利厚生は不要

インターネットのスタートアップでは、無料の食事やアルコール、ジム、交通費支給などの福利厚生が充実している会社が多数存在する。

しかしアマゾンでは駐車場代もドリンクも社員の自己負担。

 

最終的にコストを顧客に販売する商品に上乗せする(顧客に負担させる)ことになるから、過剰な福利厚生は実施しないというのがアマゾンのスタンス。

 

ジェフ・ベゾスの言葉

ものを売って儲けてるんじゃない

  • われわれアマゾンはものを売って儲けているんじゃない。
  • 買い物についてお客が判断するのを助けることで儲けているんだ。

 

電球が灯る瞬間なんかない

  • 社内でアイデアが育まれるプロセスというのは、意外にぐちゃぐちゃなもの。
  • 頭に電球が灯る瞬間などない。

 

アマゾンの強み三要素

アマゾンの強みは、以下の三要素である。

  1. われわれは顧客第一である。
  2. 長期的に物事を考える。
  3. 創意工夫を重視する。

 

ほとんどの会社は、アマゾンの逆である。

  1. 顧客ではなくライバル企業のことばかり気にする。
  2. 2年から3年でリターンが得られることばかりやりたがる。
  3. 新しいことを発明するより、誰かの発明を真似することを好む。

 

これがアマゾンが他社と違う理由であり、アマゾンの実態である。

冒頭に挙げた三要素を全て備えている企業ほとんどない。

 

ジェフ・ベゾスの愛読書

アマゾンが発足し、その文化が形作られていく背景に多くの書籍があった。

アマゾンという会社を理解するため必読の12冊を紹介。

アマゾン幹部や社員に広く読まれているものばかりである。

 

日の名残り

 

ジェフ・ベゾスが大好きな小説である。

戦時中の英国で執事をしていた男がその時代を振り返る。

「ノンフィクションより小説から得るものが多い」とベゾスは言う。

 

私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ

 

ウォルマート創業者がディスカウントストアの理念を詳しく説明し、倹約と行動重視という1番大切にしている価値について語る自伝である。

行動重視とは、たくさん試してたくさん失敗してみる姿勢を意味する。

倹約も行動上司も、アマゾンの企業価値に組み込まれている。

 

会長からのメモ 機知とユーモアの経営

 

今はなき投資銀行ベアー・スターンズの会長だった著者が社員に向けて書いたメモを集めた本。

このメモでグリーンバーグは、節度と倹約を中心にベアー・スターンズの中核となる価値を繰り返し訴えている。

架空の哲学者の名言を繰り返す手法は、1997年に株主へ送ったレターを毎年繰り返し使うアマゾンのやり方に似ている。

 

人月の神話 狼人間を撃つ銀の魂はない

 

著名な情報化学者が書いた本で、常識には反するが、複雑なソフトウェアの開発プロジェクトでは、チームの人数が大きい場合より小さい場合の方が効率が良くなることを明らかにした。

この考えから生まれたのがアマゾンのピザ2枚チーム(夕食がピザ2枚で済むほど小規模のチームで仕事を進める方法)である。

 

 

ビジョナリー・カンパニー2

 

この有名な経営書を刊行した際、著者コリンズはアマゾン幹部を対象に本社に関するセミナーを行っている。

企業は容赦ない現実と向き合い、他にはなくて自分たちにはある強みを探さなければならない。

また、「はずみ車」を回せるようにならなくてはならない。

つまり、様々な部分が相互に他の部分を強化し、その動きを加速するようにしなければならない。

 

参考記事【要約&感想】ビジョナリー・カンパニー2

 

Creation: life and how to make it

 

原始的な構成要素一式をうまく作れれば、知能的な系をボトムアップで生み出せるというのがビデオゲームのデザイナーである著者の主張である。

本書はクラウドを普及させたサービスAWSの誕生に大きな影響を与えた。

 

イノベーションのジレンマ

 

凄まじい影響力を持つ書籍であり、アマゾンの行動原理としてキンドルやAWSの誕生を促したのが本書に書かれた原理である。

今の顧客にそっぽを向かれ、中核事業が蝕まれるのではないかと恐れて、破壊的技術の採用に二の足を踏む企業があるが、そのような破壊の可能性を無視するとかえって大きなマイナスを招くとクリステンセンは指摘している。

 

ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か

 

ものづくりの真髄を小説形式で示す本で、業務が直面する制約条件から最大のものを特定し、その条件ができる限り活用できる形組織を再編するべきと訴える。

アマゾンのフルフィルメントネットワークを再建したジェフ・ウィルケらがバイブルとした本である。

 

リーン・シンキング 改定増補版

 

リーン・シンキングとはトヨタ発祥の生産哲学で、顧客にとっての価値を生み出す活動に注力し、それ以外は体系的に抹消していくものである。

 

 

ブラック・スワン

 

人間は予測できない出来事が見えず、また混沌にパターンを見るようにできており、ここから重大な結果が色々と生まれる。

安易でわかりやすい意見より実験と経験則が常に勝る。

 

まとめ

「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」は、起業したい人には必読の書といえるでしょう。

 

「火星人」というあだ名があるというアマゾン創業者ジェフ・ベゾスは、とてもエネルギーに満ちた賢い人なんだということがわかります。

今でこそアマゾンはたくさんの人々の生活に深く結びついたインフラのようになっていますが、そこに至るまでに数々の試練をどうくぐり抜けてきたのかを知るのはたいへん面白いです。