河合隼雄さんによる著書「中年クライシス」は、日本文学の名作に描かれた中年期特有の心の機微について解説してくれる本です。
この記事では「中年クライシス」のエッセンスをまとめてご紹介します。
要約
一言でまとめると
日本文学の名作に描かれた中年期特有の心の機微について解説してくれる本。
大事なポイント
ワイルドなもの
ワイルドなところを持たない中年は、全く魅力を失ってしまう。
社会的に容認された形で、ワイルドなものを生きるのはなかなか難しい。
ワイルドであるとは、暴力的であることではない。
暴力的なもの
内なる暴力的なものに振り回されず、意識化することが必要なのだ。
青年期にはその練習が許されるが、中年期はそれを飼い慣らすことができなければいけない。
青年期と中年期
青年期に「ワイルドになる」練習が少なかった者は、中年で急激にそれを行うことがある。
喜怒哀楽全ての感情の動きを深く体験することによって、中年の生活が豊かになるのである。
青年期の恋
自分の持っていないものに対する激しい憧れ、そしてその他一切の現実に対しての無視。
それらが青年期の恋の特徴である。
結婚生活
「どんな偉大な人でも、妻から尊敬される人はまずいないだろう」とよく言われる。
これは相当な真実と言っていい。
遠くから眺めるのと、近くで見るのとでは、ずいぶんと姿が違って見えるものである。
感想
ハッとしたこと
本書の文庫版裏カバーに書いてあるのですが、「中年ほど心の危機を孕んだ季節はない」という言葉がとても沁みました。
私自身はまだ中年というには青すぎる年頃なのですが、この本で紹介されている小説の中の迷える人物たちの葛藤やモヤモヤはとても個人的に共感するところが多かったです。
やってみたいこと
そもそも本書のタイトルは知っていたのですが、中身がブックガイドであることは知りませんでした。
12編の作品が紹介されているのですが、読んだことがあるのは本の一部だったので、全部読破したいと思います。
紹介されてる作品を読んでない自分に腹がたつほど、河合隼雄さんの解説が面白いのであります。
興味を持った本
門
砂の女
神経病時代
まとめ
中年になって「落ち込みやすくなった」「イライラしやすくなった」と感じる方は多いのではないでしょうか。
いわゆる「中年クライシス」と言われますが、中年って実は精神的にとても揺れ動きやすい時期なんですね。
そして、中年にさしかかった人がどのように悩み、どんな行動をとるのかというテーマは、日本文学でも扱われてきたのであります。
河合隼雄さんの著作「中年クライシス」は、中年期のモヤモヤを整理してくれる解説書として読めます。
また、取り上げられている本はいずれも名作なので、「日本文学の名作をきちんと読み直したい」という方へのブックガイドとしても大変オススメです。